ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


エッセイ・ノンフィクション

佐賀純一『戦争の話を聞かせてくれませんか』感想  〜戦争と日常の距離〜

私は戦争を知らない世代の人間です。ただ、祖父母や数人の先輩方から戦争体験を聞いたことがありました。 本書『戦争の話を聞かせてくれませんか』は、佐賀純一が市井のごく無名の方々が語る戦争体験に耳を傾け、文章にまとめたものです。それらの体験談を読…

木村義雄『ある勝負師の生涯 将棋一代』感想  〜 垣間見られる戦前の生活、風俗が興味深い 〜

木村義雄、将棋界の実力制第一代名人であり、第十四世名人(永世名人資格獲得による)である。 タイトルに『ある勝負師の生涯』とあるが、木村義雄の生涯の初めから終わりまで描かれているわけではない。幼い時期から、一度失った名人位を再奪還復位するまで…

村上春樹『もし僕らの言葉がウィスキーであったなら』感想  〜ウィスキーと、素面の言葉〜

酒は、人に言葉を紡がせる魅力を持っている。 飲酒の情景を描いた文学作品は数多い。たとえば漢詩では、飲酒が主要なテーマの一つとなっている。また日常においても、粋な酒の飲み方や、飲酒にまつわる武勇伝を語りたがる人は少なくない。 酒は、人をして物…

司馬遼太郎『歴史の世界から』読書メモ

司馬遼太郎『歴史の世界から』を読んでいて気になった文章を引用し、コメントを添えています。作品自体が、短いコラムを集めて編まれた書物なので、引用ごとの関連性はほとんどありません。個別に読んでください。 家康の罪 しかし、家康は功罪が大きいな。 …

『シュリーマン旅行記 清国・日本』感想  〜 偏見なき知性 〜

ハインリッヒ・シュリーマン。トロイヤ遺跡の発掘で知られた人物である。 しかし、そのシュリーマンが幕末期(1865年)の日本を訪れていたことは、あまり知られてないのではないか。本書はトロイヤ発掘に先立つ6年前、世界を旅行をした彼が、清国と日本につ…

内澤旬子『世界屠畜紀行』メモ(1)

「人は、どうしても動物に感情移入してしまうんですよね。でも動物には、人間が想定するような苦しみだとか、喜びだとか、そういった感情はほとんどありません。チンパンジーだって人ほどには複雑に『思って』ないですよ。たとえば、お腹のすいたチンパンジ…

山野井泰史『垂直の記憶』を読んで。 〜 人間の強さ 〜

フィジカルな文章 山野井泰史『垂直の記憶』を読みおえた。非常に面白かった。 毎年読んだ本をランキングしていのだけれど、今年の一番は間違いなく『垂直の記憶』だ。(ちなみにこれまでの一番は北村薫『太宰治の辞書』だった。) 十代の頃に植村直己の冒険…