ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


ミステリー

H・ケメルマン『九マイルは遠すぎる』感想  〜短編だからこそじっくりと〜

『九マイルは遠すぎる』(永井淳/深町真理子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、1976、以下引用は断りのない限り本書から)を読みました。 私はミステリーの熱心な読者ではないので、有名作品を摘み読むことが主です。本作はいわゆる安楽椅子探偵ものの代表的作品…

J・P・ホーガン『星を継ぐもの』感想  〜ミステリー小説として楽しむ〜

これまでSF作品にあまり親しんでこなかったこともあり、サイエンスの要素は最低限の理解で済ませつつ読んだ。それでも『星を継ぐもの』は楽しめる作品だった。 SFのサイエンスに興味のある人や、理系の勉強をした人ならばより深く楽しめるのかもしれない。し…

米澤穂信『いまさら翼といわれても』前篇を読んでの推理

「野性時代」146号(2016年1月号)掲載の米澤穂信『いまさら翼といわれても』前篇を読んだ上での推理を記します。世間的には後篇が掲載される「野性時代」147号(2016年2月号)が発行されているはずですが、まだ書店から当方までは配達され…

東野圭吾『変身』と『長門有希ちゃんの消失』の共通項  〜人格の変化と、記憶の維持〜

十日ほど前に東野圭吾『変身』を読みました。ちょうど『長門有希ちゃんの消失』の最終回を見た直後でした。この二作品、あまり同じ話題の中で語られることはなさそうです。しかし両作品が有す一つの共通点に気が付きました。 その共通点は「記憶を維持した状…

東野圭吾『眠りの森』感想  〜浮つく加賀恭一郎〜

『眠りの森』を読み始めたとき、加賀恭一郎が浮ついていると感じました。あからさまにバレエダンサー浅岡未緒にうつつを抜かしていたからです。しかし最後まで読んで納得しました。本作は当然推理小説ですが、同時に男女の出会いの物語だったのです。 一度だ…

雑記(15/07/17) 〜東野圭吾『眠りの森』を読んでいます〜

東野圭吾『眠りの森』を読んでいます。まだ100頁ほどなので、全体の三分の一といったところです。 加賀恭一郎シリーズは随分前に『卒業』を読んで以来です。主人公加賀恭一郎は、『卒業』では割りと硬派な印象を受けたのですが、今回の『眠りの森』ではバ…