ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


『たまこまーけっと』を見終えて、感想を。

3月も末になり、今期のアニメもどんどんと最終回を迎えました。
と言っても、ずっと見ていたのは『たまこまーけっと』だけでした。

たまこが支えた物語


『たまこまーけっと』の魅力は何かと言われれば、いの一番に「北白川たまこ」と答えます。
彼女の朗らかさや靭やかさを見ていると、心が洗われるようでした。天使でした、まったく。エンディングのたまこに翼が見えたと、みんな言ってます。たぶん。

そのたまこが大黒柱で、物語の舞台は、うさぎ山商店街です。この設定はとても良かったです。けれど、そこに南の国のお妃探しが入ってきて、主題がぼやけてしまったことが残念です。

靭やかなたまこと、3人のまろうど


ただ、デラの登場まで否定する気はありません。チョイも、王子も大歓迎です。3人(2人と1羽)とも登場するし、お妃探しも明かされるけれど、そこを深く語らないという進め方でもよかったと思います。

その3人を「稀れ人=まろうど=客」として、歓待はするが追求せずという接し方です。たまこは、基本的にその姿勢を採っていました。彼女はデラやチョイを問い詰めることもなく、ただ生活の中に受け入れます。先ほど彼女が靭やかだと書きましたが、そこがたまこを靭やかだと感じた理由です。

たまこの暮らす、うさぎ山商店街


このたまこの靭やかさを、うさぎ山商店街全体に拡大できなかったでしょうか。
「お妃探しに来たの?そうかいそうかい、まあコロッケでも食べていきなよ」みたいな具合に、3人にとって核心的な部分には触れずに、自分の生活の側に引きこむという態度です。
そうすれば商店街の人達がもっと活きて、うさぎ山商店街を豊かに表現できたと思います。

個人的には、お后候補のたまこより、商店街で暮らすたまこをもっと見たかったです。
たとえば、一日中もち蔵と向かい合わせになって店番しているたまこの物語です。ときどき友達がお遣いに来たり、デラがちょっかい出しに来たりするけれど、あくまで商店街の日常です。

最終的に、デラ、チョイ、王子が南の国に帰るかもはっきりしなくて構いません。帰らないままに最終回でもよいと思います。放っておいても、彼らは客であり、通り過ぎて行く存在です。
そんな彼らが風変わりだとしても、微動だにしない商店街の日常を見てみたかったです。

たまこ一人が、そんな靭やかさを背負ってしまったのは勿体なかったです。だからこそ、彼女の魅力が増したとも言えるのですが。

たまことお母さん


最後に、話題が変わるのですが、たまことお母さんの関係をもっと知りたかったです。最終回で、昼間から店を閉めている商店街を見て怖くなった彼女はきっと、お母さんが亡くなった日を思い出したのでしょう。
そのたまこに対する、デラや友だちの優しさは素敵でした。そこから反射的にたまこの悲しみが見えました。とても印象的な場面です。
こんな場面を描かせた、たまことお母さんの繋がりを見せて欲しかったです。


なんだか、不満や希望ばかり書いてしまいましたが『たまこまーけっと』は好きな作品です。というか、北白川たまこが好きなんです!

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