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『境界の彼方』第3話「ムーンライトパープル」 〜 感想など

※以下、ネタバレあります。注意して下さい。







感想

 第3話というより、これまで見てきて思うことなのですが、『境界の彼方』のテーマや雰囲気は重めというか、暗めなのに、奇妙なコメディー調のシーンを入れるのは失敗でしょう。例えば、秋人、博臣の初コンタクト場面(2話)でのアイドル風秋人とか、秋人の母親のハイテンション猫コスプレ(2話)とかです。作品のバランスを崩し、価値を下げています。


 一方で、似たように見えますが、栗山さんの挙動不審さや、秋人のメガネ好き、博臣のシスコンという性癖、美月のSっぽい物言いなどは、許せます。確かにこれらの行動や言動も、作品の雰囲気と幾分離れていると感じられます。
 しかし、作品のバランスを崩すか崩さないかギリギリの所でキャラクターの特性として位置づけられます。そういった、アクの強い登場人物によって構成された世界なのだという行き方をすれば、作品の雰囲気を損なうことなく、却ってそのユニークさを担保し得ます。


 つまり、作品の外側でコメディーをやることと、反対に内側でキャラクターにケレン味を持たせることは違います。もちろん前者が許される、むしろ望まれる作品はあります。例えば、『物語シリーズ』などがその典型でしょう。
 けれど、『境界の彼方』はそうではありません。後者をギリギリの線で採用していく迄は許容できますが、それ以上のデフォルメは勇み足でしょう。

気が付いたこと、気になったこと

 感想が、3話からはみ出た内容になってしまいましたが、ここからは3話についてです。

  • 妖夢と日光:OP後に登場した小さな妖夢が日光に当たったときに、ダメージを受けているようですが、妖夢は陽の光に弱いのでしょうか。小さな妖夢の個体的な特質でしょうか。
  • 美月のペット:最初見たとき、あのペット自体が異界士としての美月の能力なのかと思いました。けれど、公式HPを見ると、あのペットは妖夢で「ヤキイモ」というそうです。当然、美月の能力は別な何かということになります。
  • 投げられた妖夢石:栗山さんが美月に投げた妖夢石の動きがよかったです。初めは速く、美月の手元でぐっと速度を落として、美月が素早い動きでキャッチする。動きのメリハリが上手く出ていたと思います。
  • 名瀬泉:ひと目見たとき、博臣と美月の母親かと思いました。アニメの母親は、若めに描かれることが多いので、それに近かったです。年が離れているのかもしれません。
  • 名瀬泉2:彼女は妖夢を「ただの化物です」と言ってます。この認識はおいおい誰かの行動や考えと衝突するように思います。それが誰かは分かりませんが、きっと伏線の一つでしょう。
  • 凍結界:名瀬泉が使う強力な結界のようです。公式HPを見ると、凍結界に対する述語が「使役する」になっている点が気になります。「使役」とは他者に働きかけることで成立する言葉なので、名瀬泉自身が凍結界を保持しているのではなく、他者(あるいは「凍結界」という存在)に何かをさせるということになります。もちろん、単なる言葉遣いの間違いかもしれません。ともあれ、気になる部分です。
  • 美月の言葉:「まあ、変態なりに精一杯、力の限り襲ってくれば、望みを達成できる可能性もゼロとは言えないわよ」「意気地がないのねぇ。卒業の時に私に告白するのが秋人の目標でしょ」。言われてみたいですね。。。
  • イチノミヤイオリ:漢字は分かりません。情報収集の得意な異界士で、「ネットに意識を直接つないで情報を得られる」そうです。何だか凄いですね。公式HPに名前が出てないので、今後実際に登場するかは不明です。もし、登場するなら声優を秦佐和子さんに担当して貰いたいです。というか、ただ秦さんが役付きになって欲しいだけです。
  • 「先輩には仲間が居ます」:栗山さんを引き止めようとする秋人に、彼女が投げ掛けた言葉です。この言葉自体は問題ではないのですが、その直後に栗山さんが「博臣」の名前を上げています。これまでに栗山さんと博臣が直接関わる場面はありませんでした。それなのに彼の名前が語られるのは、どういうことでしょうか。単なる脚本の矛盾か、時系列のズレや時間的な省略。あるいは栗山さんは以前から博臣を認識していた。とにかく、現時点ではよく分かりません。
  • 不愉快です:同じく秋人が栗山さんを引き止める場面。秋人「栗山さん!待って!」栗山さん「付いて来ないで下さい。不愉快です」。通算10回目の「不愉快です」でした。

最後に少し

 今回のタイトルは「ムーンライトパープル」です。これが何を表す色か考えてみると、それは虚ろな影だと思います。栗山さんと、伊波桜はその虚ろな影に取り込まれたようです。つまり、虚ろな影が作る幻想の中で戦っています。
 そこに無事、秋人が登場した訳ですが、そんなに簡単に出入りできる幻想なのでしょうか。はたまた幻想ではなく現実なのでしょうか。そのあたりを突っ込むのは、野暮かもしれません。


 ところで、伊波桜さん。彼女はずっと無表情でしたが、笑ったらきっと可愛いはずです。