『夏色キセキ』を見ている。
面白いと思う。
『夏色キセキ』は、ざっと検索する限りあまり評価の高くない作品みたいだけれど、自分は面白いと思う。スフィアの4人が主役だとか、ローソンとのコラボだとかが引っかかって、評価に影響したんじゃないだろうか。でも作品自体は、ファンタジー要素もありつつ、素直に14歳の少女を描いていて好感が持てる。傑作という評価までは付かないけど、佳作として十分に楽しめる作品だった。
『苺ましまろ』に似ている
見ていて思ったのは、主人公4人の役回りが『苺ましまろ』と似てるなということ。夏海は千佳、紗季はアナ、優香は美羽、凛子は茉莉といった感じ。もちろん、2:2に分けたときの関係などは共通しないけれど、この組み合わせは結構重なる。『苺ましまろ』という作品は、美羽をどれだけ愛せるかで評価が全く違ってくるけれど、『夏色キセキ』でも優香をどれだけ愛せるかが一つの鍵になっている。物語を生むには、やっぱりああいう軽はずみなキャラクターが大事。
ただ、『夏色キセキ』は『苺ましまろ』に比べれば、設定(4人で過ごせる最後の夏)がはっきりしているので、そこまで軽はずみさは必要としない。多分その分が「切なさ」に余計に振り分けられている。
「切なさ」
最終的に別れが待っているというのは、物語としてはズルいのだけれど、あまり目くじら立てずに見れば、やっぱり切なくなるし、カタルシスもある。そういう受容の仕方は、娯楽としては正しいはず。そう考えると、やっぱり『夏色キセキ』は佳作だと思う。思いがけない衝撃や、頭を抱える問題提起もないけれど、14歳の少女の切ない輝きがある。
きっと彼女たちにとって、世界はまだまだ茫洋としている。東京なんてそんな遠くでもないし、デジタル技術は距離を隠蔽する。それでもそれが別れなのだと信じられるのは、やはり14歳ならばこそではないか。
そんな未熟と思春期の混ぜ合わさった、ある特定の時期にだけ感じれる「キセキ」を、この作品はしっかりと表現しているのだ。
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