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ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


恩田陸『卒業』を読んだ感想。 〜 卒業、あるいは希望と絶望の相転移 〜

小説・文学

 『卒業』は、短篇集『朝日のようにさわやかに』に収録されている。


 この短編は、何者かに囚われた少女たちの逃避の物語だ。彼女達はそれを卒業と言う。
 短い物語ゆえに、出来事の前後関係は不明だが、彼女達は僅かな希望を求めて異形の者の支配から逃げ出す。

「見せ付けてやる。あたしたちが卒業できるってことを、あいつらに突きつけてやる」(恩田陸『朝日のようにさわやかに』新潮社文庫版 p325)

 その希望が、刹那に絶望へと変わる場面がある。それでも細いほそい希望の糸を手繰り寄せようと藻掻く。


 思春期の少女の希望と絶望の相転移
 『魔法少女まどか☆マギカ』のキュウベイによれば、そこには膨大なエネルギーが包含されているらしい。もちろん、恩田陸の小説世界にキュウベイは居ないのだけれど。
 だが、そこには、只それだけで物語を動かしてしまう不思議な力があるように思う。


 『卒業』のような、思春期の少女の物語に触れると感じる儚さ。それを美しいと感じること。それはあるいは嗜虐的なのかもしれないが、やはり否定できないのである。

朝日のようにさわやかに (新潮文庫)

朝日のようにさわやかに (新潮文庫)