ナイフとフォークで作るブログ

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阿部共実を解釈する 〜関係性と状況〜

 阿部共実の作品テーマの中の大きなものに、関係性と状況がある。
 関係性は、好意について取り上げられることが多いのだが、一方通行であったり、交わらなかったり、ときに相思相愛となるような、色々な好意の有り様が描かれている。
 状況について、一言に還元するのは些か難しいのだけれど、誰かの肥大した自意識と周囲の常識(一般的な反応)との差によって生じる滑稽さが、ときにギャグとして、ときに居心地の悪い物語として描かれる事が多い。
 そして関係性は作品の前景にあり、状況はその後景にある。作品ごとに両者のバランスは変化するが、この二つのテーマが如何に取り扱われているかに着目することが、阿部共実の作品を解釈する第一歩だと考えている。