戦争ドラマとしての『マッサン』
ここ1ヶ月ほどNHKの朝ドラ『マッサン』は戦争を描き続けている。
『マッサン』はウィスキー作りのドラマと見せかけて結局のところ人間ドラマなのだけれど、それは朝ドラの性格上しかたがないことだと思う。しかしその人間ドラマの内でも、戦争に関係した題材についてこれほど熱を込めて扱うとは思ってもいなかった。
さすがに子供が可愛がっていた犬を軍用犬に取られるという軽目のエピソードで戦争をはぐらかした『花子とアン』の軽薄さは受け継がないだろうと思っていたけれど、これほど戦争と、それによって苦しむ人々に焦点を当てた展開を見せるとは予想できなかった。出征した一馬の戦死をもって戦争につてのエピソードは終わるのかと思っていたが、シベリア帰還兵でありマッサンの甥である悟の苦しみ(おそらくPTSD)を描くことで、終戦後もなお続く戦争の傷跡を炙り出している。
近頃は集団的自衛権の問題等々を見るに、戦争に対する認識が変化していると感じていたので、NHKの朝ドラが腰を据えて戦争と向き合っていることは意義深いと思う。どういった意見を持つにせよ、戦争について考える取っ掛かりとなり得るはずだからである。
- 出版社/メーカー: アサヒビール
- メディア: 食品&飲料
- この商品を含むブログを見る