ナイフとフォークで作るブログ

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チャットモンチー『共鳴』を聞いて。 〜 取り戻した疾走感 〜

 チャットモンチーの最大の魅力は疾走感だと思っている。彼女たちの全力で駆け抜けていくような音楽が好きだ。


 ドラムの高橋久美子が脱退し、二人体制になって最初にリリースした『変身』は、文字通り変わらなければという気負いが感じられ、どこか地面を上手く蹴れずに走っているような姿が見え隠れした。


 しかし『共鳴』からは、その気負いが消えていた。チャットモンチーというバンドを好きになった瞬間に感じた疾走感が再び溢れていた。
 サポートメンバーを加えた編成での楽曲はこれまでのチャットにはない表現の幅を生んでいる。そこに違和感を感じるリスナーも居るのかもしれない。けれど『共鳴』にはチャットモンチーの音楽の核心が剥き出しに顕れている。その核心にどう名付けるかは聴く人それぞれで違うはずだが、私にとってそれは疾走感なのだ。


 正直、チャットモンチーが何処に進んでいくのか分からなく不安になった時期もあった。だがこの『共鳴』を聴いて、彼女たちの音楽の正体を再確認できた。『共鳴』というアルバムがリリースされたことを、心から嬉しく思っている。


 追伸、9曲目「例えば、」が高橋久美子への手紙に思えてならない。この曲の作詞は西加奈子なので、そんなことはないはずなのだけれど「例えば、」を聴いていると高橋久美子のことが思い浮かんでくるのである。

共鳴(初回生産限定盤)(DVD付)

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