ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


2014-01-01から1年間の記事一覧

若竹七海『スクランブル』の感想 〜 玉子以上、玉子未満 〜

玉子・卵・タマゴ 「スクランブル」 「ボイルド」 「サニーサイド・アップ」 「ココット」 「フライド」 「オムレット」 各章題に玉子料理が並ぶ。 白い楕円形の玉子。遠くからジッと眺めようが、近くに寄ってジロジロ観察しようが、一つ一つの明らかな違い…

上橋菜穂子『獣の奏者 Ⅰ 闘蛇編』感想。

ファンタジー×物語×少女の成長 上橋菜穂子『獣の奏者 Ⅰ 闘蛇編』読了。とても面白かった。 以前に『精霊の守り人』『闇の守り人』を読んでいたので、上橋のファンタジー世界の創造力と、物語を組み上げる筆力の秀でていることは認識していたが、本作ではさら…

米林宏昌監督『思い出のマーニー』感想  〜 子供を子供として描くこと。〜

子供を子供として描く 『思い出のマーニー』は、子供を子供として描いた映画だ。それは当たり前のことのようでいて、簡単なことではない。 映画に物語を与えるならば、人物の性質のある面を誇張したほうが作り易い。特に子供は朗らかでときに不機嫌で、気ま…

漫画『陽のあたる家 〜生活保護に支えられて〜』を読んだ感想。 〜 生活保護を考える入り口として 〜

さいきまこ『陽のあたる家 〜生活保護に支えられて〜』(秋田書店/2013年)は、なるべく多くの人に読まれて欲しい作品だ。 生活保護についての理解がなかなか広まらない現状が有る。それはやはり不幸な事態だ。 人が生活していれば、ときには思いがけな…

綿矢りさ『勝手にふるえてろ』感想。  〜 ふるえてるのは、綿矢りさ 〜

「もういい、想っている私に美がある。イチはしょせん、ヒトだもの。しょせん、ほ乳類だもの。私のなかで十二年間育ちつづけた愛こそが美しい。イチなんか、勝手にふるえてろ」(綿矢りさ『勝手にふるえてろ』文春文庫版 p131)『インストール』『蹴りたい背…

『たまこラブストーリー』感想②  〜 演出、特にファンタジーのこと 〜

名作だと思う。 『たまこラブストーリー』は、名作だと思う。 青春アニメ映画としては、『耳をすませば』(1995年)以来の出色の出来だ。 ゼロ年代以降、質の高いアンメーション作品を作り続けてきた京都アニメーション(以下、京アニ)にとり、一つの到達点…

『たまこラブストーリー』感想 ①  〜 二人だけのものではない、恋物語 〜

『たまこラブストーリー』への期待 『たまこラブストーリー』というタイトルを聞いたとき、嬉しく感じた。 北白川たまこというキャラクターを、もっと知りたいと思っていたからだ。朗らかで靭やかでいて、しかし自らの心情をなかなか口に出せないでいる彼女…

羽生善治『大局観 ── 自分と戦って負けない心』を読んだ感想。

「大局観」の朧気な形 タイトルは『大局観』とあるが、それについては最初に概括的に述べられていて、あとは時々言及される程度だ。つまり一冊通して「大局観」を語った本ではない。むしろエッセイ的な書き口で、テーマは各章各項ごとに変化する。 それらの…

『たまこラブストーリー』を見る前に  〜 たまこは如何にむけるのか 〜

母性と女性 『たまこまーけっと』の北白川たまこの人となりを考えるに当たり、母の不在を無視することはできない。 たまこが家業や家事をしっかり手伝えるのは、彼女が母を喪失するまでの間に、母から学び取った母性ゆえだろう。 それに対し、もち蔵(さらに…

『輪る荒川美穂』

ボケっと『魔法少女大戦』を見ていたら主人公青葉鳴子の声優が、荒川美穂さんだった。(※『魔法少女大戦』は3話ごとに舞台が変わり、荒川さんは1〜3話の主人公です) 荒川さんといえば、『輪るピングドラム』の高倉陽毬役が代表キャラだと言って、否定す…

「個人の公共に対する役割」と、それを望むことについて

個人と公共と役割 個人の公共に対する役割について、考えています。きっかけは、ここ一週間あまりの間にインターネット上で読んだ三つの文章です。 公共に対する「役割」という語を使いましたが、これははじめ「義務」を当てて考えていました。けれど「義務…

豊川孝弘七段のこと。  〜 『マツコ&有吉の怒り新党』を見てから 〜

4月16日放送の『マツコ&有吉の怒り新党』で、豊川孝弘七段が紹介されていた。 正直、豊川七段の良さが、よくて半分くらいしか出ていないなと思った。将棋ファン向けの放送ではないので、マニアックというか将棋用語に関するダジャレは採用しづらいという…

『一週間フレンズ。』1話を見た感想。  〜 ささやかな希望を、想像してみた 〜

『一週間フレンズ。』を1話だけ見た。 一週間毎に記憶を失っていくヒロインと、彼女を慕う少年の物語だ。 記憶をめぐる物語 物語が進んでも、記憶(思い出が)積み上げられないとなると、終わるときにも状況は変わらない訳で、それではあまりにも救いがない…

有川浩『図書館戦争』を読んだ感想。  〜 それは自然に、荒唐無稽な物語 〜

突っ込まないが吉 『図書館戦争』を読んでいて、(恐らく)法治国家である作品舞台の日本で、同一の法体系下にありながら、武力行使が為されているのは可笑しいだろ、と突っ込みを入れたら負けだなと思った。 これは『ハリーポッター』と同じで、学校行事で…

『アナと雪の女王』の感想 〜 それは現代アメリカの、新たな民話 〜

求められる人物像と、自己 『アナと雪の女王』を観た。一つ思ったことは、高畑勲『かぐや姫の物語』と、部分的にモチーフが重なっているということだ。大まかに言うと、ある登場人物に関する、他人(大衆)から求められる人物像と、自己との齟齬の問題である…

恩田陸『卒業』を読んだ感想。 〜 卒業、あるいは希望と絶望の相転移 〜

『卒業』は、短篇集『朝日のようにさわやかに』に収録されている。 この短編は、何者かに囚われた少女たちの逃避の物語だ。彼女達はそれを卒業と言う。 短い物語ゆえに、出来事の前後関係は不明だが、彼女達は僅かな希望を求めて異形の者の支配から逃げ出す…

『ひだまりスケッチ』のこと

ひだまりスケッチとかいうアニメwwwwwwwwwwwwwwwというまとめを読んでいて、なんだか好い気分になりました。 「沙英&ヒロ卒業編」があったのだけど、やっぱり5期のスタートを期待してしまいます。原作は読んでないので、分からないけれど、…

『ウィッチクラフトワークス』これまでの大雑把な感想

今期のアニメで一番好きな作品は何かというと、『ウィッチクラフトワークス』です。 始まる前は全くノーチェックだったのですが、たまたまスタート前の予告編を目にして、火々里さんと、たんぽぽさん達の戦いのシーンに惹かれ視聴すると、これが面白かった。…

魔法少女まどか☆マギカ fone

魔法少女まどか☆マギカ foneのiphone版が制作されるらしい。まだまだ、リリース時期は未定だけれど楽しみです。ちっとばかし、価格が高めなんですけど是非手に入れたいです。佐倉杏子推しなので、このデザインにしたいななどと考えています。 紹介動画 魔法…

『キルラキル』感想 〜 ド派手な姉妹喧嘩が見たいんだ 〜

アクの強い傑作 キルラキル、傑作だ。 独特の世界観があり、魅力的なキャラクターが居て、声優の演技には緊張感があり、脚本に抜かりがない。そしてキャラクターデザインにオリジナリティーがある。 確かにアクの強さの為に、はなから受け付けない人も居るか…

『ズヴィズダー』を見て、ウクライナの平和を祈る

ナターシャ a.k.a.ウーム教授 『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』、面白いです。 ストーリーの風呂敷は大きいのに、変に捏ねくり回してないのがよい。とりあえず「征服」すれば問題ないから、すごく明快。 それに、それぞれのキャラが立っている。敵役のホ…

将棋界の一番長い一日

今日は、朝からA級順位戦の最終局をニコ生で見ていた。人間が作った将棋という勝負事のルールに則って、人間が全霊を注ぐ姿は、どうしたって美しい。思うことは色々あるけれど、谷川九段の指し姿は凛々しい。まだまだA級と言う舞台で見たい。会長職での忙し…

西村賢太『けがれなき酒のへど』を読んだ感想。

処女作 『けがれなき酒のへど』は、西村賢太のデビュー作だ。そして、私が初めて読んだ西村作品だ。 ある作家を知る時には、処女作から読むのが好もしいと思う。その作家の、書きたいことが書き込まれている(可能性が高い)からだ。次作の確信のある作家な…

『夏色キセキ』を見ている。

面白いと思う。 『夏色キセキ』は、ざっと検索する限りあまり評価の高くない作品みたいだけれど、自分は面白いと思う。スフィアの4人が主役だとか、ローソンとのコラボだとかが引っかかって、評価に影響したんじゃないだろうか。 でも作品自体は、ファンタ…

どうしてモテるのかを、どう描くか。 〜『未確認で進行形』などから 〜

『いなり、こんこん、恋いろは。』『未確認で進行形』『ニセコイ』の最初の2,3話くらいを見た。恋愛モノだ。 どの作品もヒーロー役の男キャラが、女の子からモテる(好かれる)展開になるのだと思う。『いなり』はストレートに一対一の関係。『ニセコイ』…

チアリーダーのほむほむ

まどマギと、ローソン、アサヒ飲料のコラボキャンペーンで、ほむらのチアリーダーフィギュアが当たるらしい。ほしいですなぁ。 http://lwp.jp/mm7/campaign/static/mm7/

TVアニメ『ニセコイ』:2話まで見た感想。

※ネタバレはほとんどないはずですが、一応ご注意下さい。 第一印象 ジャンプで連載している漫画は読んでいないので、予備知識はほとんどないまま視聴しました。 とりあえず、千棘さんと小野寺さんが楽君を巡って恋の鞘当てをする話かなと思いました。でも、…