ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

漫画『陽のあたる家 〜生活保護に支えられて〜』を読んだ感想。 〜 生活保護を考える入り口として 〜

さいきまこ『陽のあたる家 〜生活保護に支えられて〜』(秋田書店/2013年)は、なるべく多くの人に読まれて欲しい作品だ。 生活保護についての理解がなかなか広まらない現状が有る。それはやはり不幸な事態だ。 人が生活していれば、ときには思いがけな…

綿矢りさ『勝手にふるえてろ』感想。  〜 ふるえてるのは、綿矢りさ 〜

「もういい、想っている私に美がある。イチはしょせん、ヒトだもの。しょせん、ほ乳類だもの。私のなかで十二年間育ちつづけた愛こそが美しい。イチなんか、勝手にふるえてろ」(綿矢りさ『勝手にふるえてろ』文春文庫版 p131)『インストール』『蹴りたい背…

『たまこラブストーリー』感想②  〜 演出、特にファンタジーのこと 〜

名作だと思う。 『たまこラブストーリー』は、名作だと思う。 青春アニメ映画としては、『耳をすませば』(1995年)以来の出色の出来だ。 ゼロ年代以降、質の高いアンメーション作品を作り続けてきた京都アニメーション(以下、京アニ)にとり、一つの到達点…

『たまこラブストーリー』感想 ①  〜 二人だけのものではない、恋物語 〜

『たまこラブストーリー』への期待 『たまこラブストーリー』というタイトルを聞いたとき、嬉しく感じた。 北白川たまこというキャラクターを、もっと知りたいと思っていたからだ。朗らかで靭やかでいて、しかし自らの心情をなかなか口に出せないでいる彼女…

羽生善治『大局観 ── 自分と戦って負けない心』を読んだ感想。

「大局観」の朧気な形 タイトルは『大局観』とあるが、それについては最初に概括的に述べられていて、あとは時々言及される程度だ。つまり一冊通して「大局観」を語った本ではない。むしろエッセイ的な書き口で、テーマは各章各項ごとに変化する。 それらの…