2017-01-01から1年間の記事一覧
『九マイルは遠すぎる』(永井淳/深町真理子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、1976、以下引用は断りのない限り本書から)を読みました。 私はミステリーの熱心な読者ではないので、有名作品を摘み読むことが主です。本作はいわゆる安楽椅子探偵ものの代表的作品…
『オトメの帝国』が『グランドジャンプ』から『少年ジャンプ+』に移籍し再スタートしました(2017年11月22日)。 shonenjumpplus.com 作品紹介には「’10年代ティーンたちの、波乱に満ちた日々を描くセキララ百合コメディ」とありますが、いささか大げさかと…
酒は、人に言葉を紡がせる魅力を持っている。 飲酒の情景を描いた文学作品は数多い。たとえば漢詩では、飲酒が主要なテーマの一つとなっている。また日常においても、粋な酒の飲み方や、飲酒にまつわる武勇伝を語りたがる人は少なくない。 酒は、人をして物…
これまでSF作品にあまり親しんでこなかったこともあり、サイエンスの要素は最低限の理解で済ませつつ読んだ。それでも『星を継ぐもの』は楽しめる作品だった。 SFのサイエンスに興味のある人や、理系の勉強をした人ならばより深く楽しめるのかもしれない。し…
デズモンド・ドスは米国軍人でありながら武器を持たずに従軍し、第二次世界大戦沖縄戦の激戦地「ハクソー・リッジ」において75名の命を救う。まさに、英雄的といえる行動だった。 しかし、彼は負傷者を救い始めた瞬間から英雄だったのだろうか。それは違う…
桜庭一樹は土地を描く。 桜庭一樹作品の登場人物は、ある土地において(『私の男』では奥尻と紋別)、周囲から期待される居場所と、自分が心地よいと思う居場所の間に齟齬があり、その齟齬を埋められずにいる人たちだ。 彼らのうちの幾人かは、その齟齬と何…
司馬遼太郎『歴史の世界から』を読んでいて気になった文章を引用し、コメントを添えています。作品自体が、短いコラムを集めて編まれた書物なので、引用ごとの関連性はほとんどありません。個別に読んでください。 家康の罪 しかし、家康は功罪が大きいな。 …