ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


映画

近藤喜文『耳をすませば』再鑑賞メモ 〜窓に映る鏡像のこと等々〜

「金曜ロードショー」で年始に放送された『耳をすませば』の録画を鑑賞したので、観ていて気が付いたことを幾つか書き留めました。各項目間の関連性は特にありません。 本作品はこれまで幾度も観てきました。それでも尚、気付かされることは尽きないものです…

メル・ギブソン監督『ハクソー・リッジ』感想  〜そのときデズモンド・ドスは英雄ではなかった〜

デズモンド・ドスは米国軍人でありながら武器を持たずに従軍し、第二次世界大戦沖縄戦の激戦地「ハクソー・リッジ」において75名の命を救う。まさに、英雄的といえる行動だった。 しかし、彼は負傷者を救い始めた瞬間から英雄だったのだろうか。それは違う…

『聲の形』感想 〜西宮硝子とキャラクターデザインのこと〜

ヒロイン西宮硝子 ちょっと遅くなりましたが『聲の形』見ました。 ヒロインの西宮硝子が可愛かったです。今まで見たアニメキャラの中で一番でした。自分でも一番だなどと簡単に言っていいのかと感じるのですが、それでも一番なのだと思います。『とらドラ!…

『劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE- 過去編』感想 〜栗山未来の美しさと「嬉しいな」という言葉〜

今週末に『劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE- 未来編』が公開される。とても楽しみだ。 半月ほど前に『過去編』を見た。『過去編』は以前放送されたTVシリーズの再編集版なのだけれど、予想したよりずっと面白かった。作品の焦点を神原秋人と栗山未来の関係…

映画『アメリカン・スナイパー』感想

アメリカという国は、マッチョなヒーローが本当に好きな国なのだなあと、改めて思った。主人公クリス・カイルはその典型だったのだろう。彼はもともとカウボーイをしていて、そこからSEALsに志願したという物語になっていたが、カウボーイはやはりアメリカの…

『たまこラブストーリー』感想②  〜 演出、特にファンタジーのこと 〜

名作だと思う。 『たまこラブストーリー』は、名作だと思う。 青春アニメ映画としては、『耳をすませば』(1995年)以来の出色の出来だ。 ゼロ年代以降、質の高いアンメーション作品を作り続けてきた京都アニメーション(以下、京アニ)にとり、一つの到達点…

『たまこラブストーリー』感想 ①  〜 二人だけのものではない、恋物語 〜

『たまこラブストーリー』への期待 『たまこラブストーリー』というタイトルを聞いたとき、嬉しく感じた。 北白川たまこというキャラクターを、もっと知りたいと思っていたからだ。朗らかで靭やかでいて、しかし自らの心情をなかなか口に出せないでいる彼女…

『たまこラブストーリー』を見る前に  〜 たまこは如何にむけるのか 〜

母性と女性 『たまこまーけっと』の北白川たまこの人となりを考えるに当たり、母の不在を無視することはできない。 たまこが家業や家事をしっかり手伝えるのは、彼女が母を喪失するまでの間に、母から学び取った母性ゆえだろう。 それに対し、もち蔵(さらに…

『アナと雪の女王』の感想 〜 それは現代アメリカの、新たな民話 〜

求められる人物像と、自己 『アナと雪の女王』を観た。一つ思ったことは、高畑勲『かぐや姫の物語』と、部分的にモチーフが重なっているということだ。大まかに言うと、ある登場人物に関する、他人(大衆)から求められる人物像と、自己との齟齬の問題である…