「将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene」の感想
電王戦FINAL第2局は、永瀬拓矢六段が2七角不成と王手をかけた局面でSeleneがその角不成を認識できず、Seleneの王手放置による反則負けとなりました。
大まかな状況はこの記事を読むと分かると思います。nlab.itmedia.co.jp
対局をニコニコ生放送で見ていたのですが、幾つか気になることがありました。
一つは勝敗に関して立会人の三浦九段をはじめ対局現場に居たプロ棋士の方々が、盤面は永瀬六段の勝ちの(見えた)局面だと主張し、そのことを勝敗を決っする理由として上げていたことです。
はっきり言って局面上での優劣は、今回の勝敗には関係ないでしょう。
電王戦のレギュレーションではソフトの改変は認められておらず、Seleneが角不成を認識できずに反則を犯しても修正措置は行えないので、単にSeleneの反則負けという結論だけあればよかったはずです。
また、そういった判断をできないところに、電王戦でプロ棋士だけが立会人を担当することの難しさも感じました。将棋界というのはプロ棋士が権威主義的に存在している世界なので、プロ棋士がこうだと言えばほとんどの将棋ファン(アマチュア)は、そうですかと言わざるを得ません。
ですのでプロ棋士とソフトが対決する電王戦で、本来中立であるべき立会人をプロ棋士が担いながら、プロ棋士が持つ権威を振りかざして勝敗を決めるとしたら、それは茶番でしかありません。今回の電王戦FINALの後にもプロ棋士対ソフトの対局が行われるならば、より公平な立場で対局を見られる人間に立会人を任せるべきです。
他に、永瀬六段が2七不成を選択したことについては、Seleneが角不成を認識できず投了する可能性があると認識していたならば、2七角成を選んで欲しかったと思います。
丁度この電王戦FINAL第2局の前日、第64期王将戦七番勝負の第6局において郷田九段2九銀・渡辺王将同玉と勝ちを逸する手が連続して指されました。将棋の勝敗は局面の優劣通りには行かないことをよく表す一局でした。
仮に永瀬六段が2七角成を指しSeleneが同玉とした場合、後手1一飛以下長手筋の勝ちがあったとされています。しかしその長手筋を永瀬六段が指し切れたかという疑問は永遠に解決されないまま残されてしまいました。もちろん、どの手を選ぶかという権利が完全に永瀬六段にあることは間違いありませんが。
ただ、指してみないと分からないという将棋の醍醐味が切り捨てられたことが、一将棋ファンとしては残念でなりません。
以上「将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene」の感想でした。
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