ナイフとフォークで作るブログ

小説とアニメ、ときどき将棋とスポーツと何か。


「第86期棋聖戦 五番勝負第1局 羽生善治棋聖 vs 豊島将之七段」感想

 まさかの矢倉戦でした。豊島七段が先手番をとった時点で、矢倉戦を予想した人はほぼ皆無でしょう。多くの人は角換わりを予想し、それより数は少ないながら横歩取りや、相掛かりを候補に上げた人も居たはずです。しかし、矢倉戦は全く予想の外にありました。


 産経ニュースの記事に「作戦が失敗して」という豊島七段の言葉があることから、矢倉は豊島七段の作戦であったことが知れます。さらに言えばその作戦は、矢倉を組みつつ▲2六歩と飛車先を突き、端攻めを目指す形だったのでしょう。
 幾分古い形に思われますが、温故知新ということもあります。詳しい意図に興味があります。


 先日、羽生名人防衛 〜 第73期名人戦七番勝負 〜 - ナイフとフォークで作るブログというエントリーで、名人戦での5局の内の3局が矢倉戦であった為に、現在盛んで、かつ豊島七段の得意戦法とも言える角換わりや相掛かりの研究を晒すこと無く、羽生棋聖名人戦を乗り越えられたことは、棋聖戦を控えて僅かながら意味があっただろうと書きました。


 しかし、フタを開けると矢倉戦。おおかた矢倉は選ばないだろうと思われていた豊島七段はむしろ、矢倉シリーズとなった名人戦から、それについての何らかのインスピレーションを得たのかもしれません。
 結果は付いてきませんでしたが、タイトル戦という舞台で思い切りの良い作戦選択をする豊島七段の意欲は、とても魅力的に感じました。